久しぶりの顔に会えるのを楽しみにしていました。
「旅の日々は・・・3」で登場したWILD SWANSの鴻野氏と並んで
これまた愛すべき「けんか仲間」上野アメ横の鞄屋「万双」の武井氏
当時は3人集まったら、激論の末に激論、罵倒、「ウヌヌ・・クヌヤロクヌヤロ!」
そしてまた朝・・。
なら会わなきゃ良いのに・・しかしなぜか、心地いい。
話の内容がことごとく未来のコトだったからだと、今振り返ってみて思います。
〜*〜*〜*〜*
いつしか吸い寄せられる様に、魅力的な男達がどんどんと集まって来ては
朝までドンチャンドンチャン!貧しくも豪快で楽しい日々でした。
そういえば、忘年会などもゴチャ混ぜの合同でやっていたなぁ。
その仲間一人一人との初対面はそれぞれ強烈な印象が残っています。
この日、神戸で会うマコトとの出逢いもやはり、強く印象に残っています。
〜*〜*〜*〜*
いつもの地下の安居酒屋に集まっている時
武井氏が見た事の無い、頬がこけて、眼光鋭く無口な印象の青年を連れて来て
「あれ持って来たか?」と聞くと、青年が袋から取り出したのは
エルメスのケリーバッグ!外縫いで皮革は多分黒のボックスカーフだったと思います。
こんな高価なものをどうしたのかと怪訝な顔をしていると
「こいつが作ったんだ」と言う。
手縫いでしか縫えない正確で細かくつまった糸目・・。
シンプルで精密な型取り。
言葉がでませんでした。
本物は買えないので、作りながら解らない所があると、本を見たり、店に通っては長い時間眺めていたそうです。
「こんなんまだまだですからっ遠慮なく触って下さい」
世の中にはまだまだ凄い奴がいるもんだなぁ、とドキドキしたのを憶えています。
〜*〜*〜*〜*
あれから十数年
歴史のありそうなビルの中にある、隠れ家の様なアトリエを恐る恐る訪ねると
当時のままの人懐っこい笑顔で迎えてくれました。
途中で買って来たコーヒーを一緒に飲みながら、話し始めると
さすが、思い出話なんてすぐに切り上げて、徐々に熱々トークに火がつく。
昔のままの眼光は健在でした。
この国の製造業の衰退、特に皮革を扱う製造業と他業界との認識の大きなギャップについての話は大きくうなずかざるをえませんでした。
なにか、彼がズリズリと奈落へ引きずり込まれるのに逆らって、地面に足をぐっと踏ん張ってグイィっと一歩づつ登っている姿が見えるようでした。
俺はまだまだ努力が足りないと、尻を叩かれ決意を新たにさせてもらいました。
〜*〜*〜**〜*
美味しいお好み焼き屋さんに場所を変えて、ビールをジョッキでグビグビやりながら熱弁はつづきます。
語り合ううちに、心の中の別のところでスイッチがパチッ!パチッ!と入る音がします。
あの頃と同じだ。
静まりかえった旧居留地を満腹ほろ酔いで歩きながら、震災当時の話をききました。
古い建造物が取り壊され、この綺麗な街並があると思うと複雑な・・不思議な気分でした。
ホテルの前で別れて、何気なく振り返ると、ふらふらと歩く背中があり
見えなくなるまで、見送りました。
〜*〜*〜*〜*
翌朝、神戸の海だけはみて帰ろうと決めていたので曇り空の下、港へ向かいました。
意外なほど海の水はきれいで嬉しくなります。
さぁ、帰ろう。
〜*〜*〜*〜*
4日間の出来事でしたが、のびのびになってしまいました。
書ききれない事がたくさんありますが、次々と出来事はおきているので
時間がずれながらも少しづつお話しします。
いつになったらBlogに慣れるのか?
ひとまずこの旅の話は、一巻の終わり。
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