2008年8月8日金曜日

CLAY (クレイ)の話 その3


数週間後、長谷から新聞紙に包まれてコンチョが届きました。

手作りのいびつな曲面に手彫りの模様と925の刻印。
コテコテの工芸品ではないイメージ通りの仕上がりでした。

鈍い銀の素朴さに興奮しました。
値段の高さにまで、さすがシルバーだなぁと変に興奮していました。

早速取り付けてみると、ドキリときます。もとからこうしてあった物を探し当てた気分。
クレイだけに赤土の中から掘り当てた感じと言った方が洒落てるか。
こうしてクレイは形になり産声をあげました。

ゲリラ的に展示会に出展し大反響を浴びました・・・。
となれば、めでたしめでたしなのですが世の中そんなに甘くはなく、
何とか生産に持ち込んだという感じでした。

解ってもらえた人達のためにあきらめず少しづつ造り続けました。
修理やいただいたご意見を参考にさせていただきながら改良を重ねていきました。

10年以上・・・会社がかわっても独立しても、今でも改良はつづけています。
お店を開いてからはお客様との会話の中から生まれてきた形がいくつもあります。

CLAYは今まで何人の人達が関わって、何人の人達に受け入れられ、育てられてきた事か。

今日も僕らの知らない街で誰かの人生に少しだけ関わっているのかな、と考えると空が広がるように優しい気分になり、同じ分だけ気が引き締まります。

それは15年前、旅の途中、アリゾナの大地に沈む豪~快な夕焼けに向かって男三人並んで立ちションベンをしながら言葉にならない雄叫びをあげ、オォーッスゲーッと泣きそうに感動した時の気分となぜかすごく重なってしまうのです。

CLAYの話 おわり。


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