2014年11月25日火曜日

MORAstylos  Slow〜slow〜* その4


前回のつづき




パリからのメールには


「Odeon 近くの小さな通りに面した素敵なお店でした」





「Andre氏とChristineさんにお会いして、色々お話をうかがいました。

非常に歴史のあるお店で、主に万年筆の販売と

修理を手がけていらっしゃいます。

良いものをお客様に長く使っていただくのが

商売の目的だとおっしゃっていました。」






「商品はメジャーなブランドから、職人の注文品までという感じです。

ペンケースも既製のものをほんの少し扱われていました。」





Slow〜のペンケースについては非常に気に入っているので

取引が可能になったら、10本くらいはいるペンケースとか

新しいデザインの相談もさせてもらいたいとおっしゃってました。


CORBO.の海外取扱店第一号店?には十分応えて頂けそうな印象でした。



『中屋万年筆』の吉田さんからもイベントの時の写真を送っていただきました。







僕は・・いや、CORBO.は本当にお客様に恵まれていると感じていましたが

すごいです。ホント!


瀬戸川さんには


拙い英文を添削していただいたり、翻訳していただいたり

吉田さんには


とても丁寧に細かく輸出に関して教えていただきました。



お二人のご協力で


諸条件や、パリのお客様も日本と同じように


メンテナンスを受けられる様にしていただく事を条件に加え

この革でこのデザインで作ります。と

旧型と新型のカタログを送っただけで

『Mora stylos』 さんはすぐにオーダーしてくださいました。







そして数週間後には

我が愛する職人さん達が


渾身のロールペンケースを仕上げて下さいました。


こうしてCORBO.海外取扱い店第一号


『Mora stylos』 さんへと旅立って行きました。





来年はパリの『Mora stylos』に行きたいと思います。



もし、パリへ行かれる方はぜひよろしくお伝えくださいね。

http://morastylos.com/boutique/


*ちなみにこの上の写真のバージョンは

今のところ『Mora stylos』だけのお取り扱いです。

ご要望が多ければ、生産しますので

お気軽にお問い合わせください!





おっ!また瀬戸川 さんからメールだ

「イエローとブルーが売れましたね!」


おぉっ!





カリフォルニアから

パリの小さなお店の出来事を

千駄ヶ谷の片隅で受け取る・・


突発的に起こった出来事を共有した

人たちと距離感なくやりとり出来るなんて!


子供の頃夢見た

未来みたいだ。

2014年11月21日金曜日

MORAstylos  Slow〜slow〜* その3


前回のつづき



瀬戸川さんがロンドンにいると聞いて


なぜ 

「あ〜なんだ、そうだった!」

と思ったのか?

そして

なぜ「こういう時はすーっと繋がるものです。

と言ったのか?








瀬戸川さんは

開店して間もない『 CORBO.works & shop 』に

閑古鳥が鳴くほど暇だった頃からの常連さんで

コーヒーを飲みながら

ほぼ 一日中いろいろな話しました。

人柄が穏やかで、話が面白いので

僕が接客しているつもりが、いつの間にか逆になる

好奇心が止められずに質問攻めにしても

穏やかにスルリと答えてしまう。

時々忙しくなると、自然と接客までしてくれていたりもする

そして暗くなる頃に笑顔で帰って行く。

という人なのです。






そんな会話の中から誕生したのが

この『 Slow〜slow〜* Stationery』です。


だから

瀬戸川さんがパリに向かうのは

すごい偶然だけど

とても自然な流れなんだと感じました。






「 Slow〜slow〜 」と名付けたのは

僕がカナダのバンフという村のバッグ屋さんで

店員として働いていた頃

景気はどうだい?と聞かれると

きまって「 Slow〜 」と答えていました。

意味は読んで字の如しです。

でも全体的にのんびりとした村でしたから

悲壮感はなかったなぁ。

いつも本を読んでいました。





だからまさにぴったり

店は暇だったけど

そのおかげてたくさん面白い話が出来た

Slow〜 の中から産まれた

『 Slow〜slow〜* Stationery 』

というワケです。





数日後

「偵察いってまいりました!」と

パリからメールが届きました。



つづく








2014年11月18日火曜日

MORAstylos  Slow〜slow〜* その2

前回からのつづき。


『中屋万年筆』の吉田さんにご愛用いただいている

件のペンケースは何かというと

ブックカバーがメインのシリーズ

『 Slow〜slow〜* Stationery』の

ロールペンケースでした。

しかし・・・

『 Slow〜slow〜* Stationery』は

皮革や仕様、値段をリニューアルして

前回の展示会で発表したばかりだったのです。


どう違うのかというと


こちらが吉田さんがお使いの旧仕様
シルバー925のコンチョを革紐でとめる仕様です。
皮革は国産のオイルレザー

photo by Sentire-One




こちらが新仕様
長めベルトとバックルで調節しやすく
しっかり固定します。
皮革はイタリアのオイルレザー・ブッテーロです。

Photo by Sentire-One



そこで、素材は今の物を使い

旧デザインでサンプルを製作してみることにしました。


ここまでは作業的には普段とほぼ同じなので



問題はありませんが・・この時点で

まだパリへの返信をしてない

1週間ほど経過中・・

わかっちゃいるけど、進まない。

ブロークンジャパニーズイングリッシュで

顔を見ながらグイグイと会話するのは楽しいけれど

ビジネスで、メールでとなると

書いた文章を何回読み返しても

不安で・・

まいったなぁこりゃ・・と頭をゴシゴシやりながら


今日もポチッとPCを閉じて1日が終わる。

を繰り返していました。


帰りの電車の中

何件かのメールのやり取りの中に


アメリカ各地での展示会や気候や

アメリカで意外にW杯が盛り上がっていることなど

近況を知らせるメールが届きました。

しかも、メールの最後には

「昨日はアトランタで展示会で、そこを早めに抜けて、今はロンドンにいます。」

とありました。


あ〜なんだ、そうだった!

とその時思いましたね。

しかも、こういう時はすーっと繋がるものです。


「今はロンドンですか、もしかしてその後パリに行く予定はありますか?」

と送ると

ちょうどパリに行く予定で

メールのタイミングもバッチリでした。

しかも『Mora stylos』の近くに宿泊するそうです。


そこで、これまでの出来事を伝えると


「オデオン界隈にはちょうど用事があって立ち寄るので、ぜひ寄ってみます。

こんな偶然があるんですねぇ・・」


という返信が届きました。


こんな偶然があるんです。

つづく

2014年10月15日水曜日

MORAstylos  Slow〜slow〜* その1

さて、随分と間が空いてしまいました。

書く時というのは、何かが一段落した時なので

落ち着いた良い時間でもあります。

間が空いた、と言うことは

たくさんの出来事があり

それについて考えたり

彼方此方と動いていたと言う事なのですが

実は今もアタマの中は一段落ついてはいません。


昔ならこんな時、煙草を深く吸い込んで

ふーっと吹き飛ばせば、きっと答えがみつかったけれど

盟友のはずだった煙草に別れてを告げてもう9年近い

今更縁りを戻す気にはなれないのだから

冷めた珈琲を啜りながら、PCに向かって

無理矢理にグイグイと書き進めてしまえば

何か見えてくるかと思い

出来事の断片を眺めていると云う訳です。


〜*〜*〜*〜*〜



今年の夏のはじめ頃。

突然フランスから一通のEメールが届きました。

英文だったので、また迷惑メールかな?と思い



削除しかけた・・けれど



こんな写真 (古瀬が撮ったカタログ写真) が添付されていたので

なんだなんだと、読んでみると

『 Mora stylos 』というパリの筆記用具屋さんからです。



*「パリの『Mora stylos』でのイベントにいらした


『 中屋万年筆 』の Nib master 吉田 伸一 様がお使いになっていた

CORBO.のペンケースを是非お店で取り扱いたい。

良い返事を待っています。」



という内容でした。

とても光栄な事ですが

僕はこれまでほとんど、万年筆とは縁がなかったので

すぐに『中屋万年筆』と検索してみました。

へっ!?

高級万年筆ではないですか・・。



上の写真の通り、このペンケースに入れているのは

普通のシャーペンやボールペン、ラミー

カッターやSDカードなどです。

ちょっとカッコ良くて、気軽に使えるペンケースをと

バイクの『 Tool Roll・ツールロール 』をイメージして

デザインしたペンケースですから・・・

高級万年筆を入れて大丈夫なの!?ですか?

と不安になりました。

『中屋万年筆』吉田さんは職人さんですので

直接お聞きすれば不満や改良点など、ご意見をうかがえるかもと思い

すぐに電話をかけようとしたのですが

作業優先で、問い合わせはメールのみとの事でしたので

早速、メールを送りました。


吉田さんはすぐにお返事を下さいました。

神宮前二丁目のお店でペンケースをご購入いただいたこと

4〜5年間ずっとご愛用いただいており





「高品位で非常に愛着を感じております。

また、個性的であるところにも強く惹かれます。」

と書いて下さいました。

また『Mora stylos』というお店は

「店舗の規模としては大きなものではありませんが創業は1930年で

パリの中心部に店を構えており高級筆記具(主に万年筆)をメインに扱っております。

良い店であると思いますので前向きに考えてください。」


近日「 二子玉川の伊東屋玉川店(玉川髙島屋4F)で
実演をしているので、ご都合よろしければお立ち寄り下さい。」

とも書き添えてくださいました。


こうなると僕の場合、足の方が先に動いてしまうので

すぐに二子玉川へ、吉田さんに会いに飛んで行きました。


文房具屋さんの匂いは落ち着きます。

お店の中央、万年筆がズラリと並ぶケースの側に

スーツの店員さんたちの中に

ひとり作業着を着た人がいます。

僕もこれまでたくさんの職人さん達と仕事をしてきたので

なんとなくわかりました。


「吉田さんでしょうか?」と声をかけると

逆に喜んでいただけたようで恐縮してしまいました。

お使いいただいているペンケースを見せて下さいました。

とても良い感じに手にもペンにも馴染んでいました。

早速、お仕事の邪魔にならないように

手短にいくつか質問させていただきました。

古「何か問題とか気になるところはありませんか?」とお聞きすると

「もう4〜5年くらい使っているかなぁ、海外にも持って行きますけど、何も問題はありませんよ」


古「ありがとうございます。」
「でもまぁ、そうは言っても本当は何かあるんじゃないですか?」

吉田さん「いやいや本当に良いですよ」

古「実は前回の展示会でリニューアルして少し値上がりしてしまったんです。大丈夫でしょうか?」

吉田さん「このクオリティなら全然大丈夫だと思いますよ」

と言っていただいたところに

お客様が愛用の万年筆のペン先を調整しに来店されました。

「また神宮前のお店に行きますね」

と握手をしました。


吉田さんは前掛けをピッっと縛って席に着きました。

遠目に少しだけ拝見しましたが

やっぱり職人てのはカッコイイです。




こちらが『 中屋万年筆 』のNib master 吉田 伸一 さん

右手にあるのが吉田さんご愛用のペンケースです。

慌てて撮ったから、よく見えないので

拡大!



ペンケースもいい味出てますが

吉田さんの指にインクが染みついているのが見えますか?

職人てのは格好良いです。


つづく











2014年9月26日金曜日

虹の岬の喫茶店


CORBO.のHPにリンクを貼って応援してきた

作家で古瀬の釣り・海川遊びの師匠でもある義弟の

 
森沢明夫の小説

http://www.amazon.co.jp/dp/4344421078/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&sr=1-3&qid=1353500447

『 虹の岬の喫茶店 』原作にした映画








10月11日(土)から 全国ロードショーになります。

企画・プロデュース・主演はナンとっ!

吉永小百合さん

監督は「八日目の蝉」の成島 出 監督

出演は 阿部寛さん 竹内結子さん 笑福亭鶴瓶さん


などなど・・・・スッゴイ俳優陣が総出演!

しかも、モントリオール世界映画祭で

『審査員特別賞グランプリ』と『エキュメニカル審査員賞』を

W 授賞してシマイマシタ・・・スッ・・スゴイッ!





写真はまだ寒い時期、撮影前のセットを作っているところ
結構ちゃんと作り込んでて感心してしまいました。



 
時代がとうとう、優しきヒゲマッチョに追いついてきたな

随分前に森沢くんについて書いたブログを読み返して

懐かしくなりました・・。



 
ホントよかったよかったよ。

皆さんぜひ映画館でご覧下さい

よろしくお願いします!


〜*〜*〜*〜


売れっ子作家森沢明夫」はどうやって出来上がり

今日に至ったかを垣間みるなら

こちら「あおぞらビール」「ゆうぞらビール」

2点セットを朝夕の電車の中でこっそりと読む事を

おススメします。






「ゆうぞらビール」には僕もチョロっと登場させてもらってます。


う〜ん、なんかビールが呑みたくなってきたなぁ

今日はこの辺で

良いビールを!

 

2014年9月19日金曜日

珠玉

~*~*~*

清田 様

『Roll of notes』はCORBO.で初めて作ったお財布のシリーズです。
15年近く前のデザインですので、未熟さや何やらがいろいろ見えてきて
清田 様と重ねた年月も加わっており、胸に来るものがありました。

とても大切にお使いいただいて本当にありがとうございます。
今後とも末永いご愛用よろしくお願い申し上げます。

~*~*~*

CORBO.古瀬様

ありがとうございます。
非常に丈夫なお財布で驚いています。
また次の10年を経てメンテナンスしていただけるように
大事にしたいと思います。

~*~*~*




これは『 初代 Roll of notes・8LA-9302 DBR 』のお修理仕上がり時の

お客様とのメールでのやりとりです。


10年以上はお使いいただいていたはずです。

上の写真を見ていただければ、言葉はいりませんねぇ・・

この艶と味の下には

たくさんの傷や汗と涙が隠れているはずです。

そこを通らないと、こうはなりません。

皮革って凄いです。

僕にとっては珠玉です。

「非常に丈夫なお財布で驚いています。」と言って下さっていますが

モノとの付き合い方が良いんです。

清田さんに心から感謝します。


このようなやりとりに、僕はほぼ毎日触れています。

全国から届く修理品をひとつひとつ拝見して

ひとりひとりに対応していると

とても勝手な感情ですが

他人とは思えなくなってきます。




デザイナーになりたての頃

自分が作った鞄を持った人を街で見かけると

その人に声をかけたくて、少し後を追ってしまいました。

「どうですか?大丈夫ですか?問題ないですか?」

聞きたくて聞きたくてウズウズして

葛藤の末、後ろ姿を見えなくなるまで見送りました。





今でもあまり変わっていません。

ここのところ、色々と考える事があり

煮詰まってしまう日々なのですが

作品達はみんながんばってんだなぁ!と

そして、手にして下さった皆さんもがんばってんだなぁ!と思うと

俺もがんばんねーと!と

勝手に元気をもらっています。

本当ありがとうございます。





お世話になっている『Sentire-One』楽天店の

『Curious・8LO-9933』のプレビューが間もなく

777件になります。(なんかめでたいゾロ目)

勇気を振り絞って、すべて拝読させていただいています。

うれしくて電車の中で涙がでそうになる事があります。

厳しいご意見もしっかり受け止めて

職人さん達と改良に努めていますよ。


僕と僕の後輩達が

珠玉を見せていただけるように。


2014年9月3日水曜日

夏の色彩


東京はここ数日、久しぶりに太陽がでてくれました。

日差しはまだ暑いけど、風には秋の気配があります。


今年はどんな夏でしたか?


台風は早く来すぎるし、長居しすぎるし

雨が降れば降りすぎるし

晴れれば少し暑すぎた・・。


それでも季節は動いています。

これまでとは違うと嘆くより

明日は何が起きるのか?楽しんでしまえば良いんだな

と、思うようにしました。




夏と言えば今年も

高校球児達の真っ直ぐなプレイには心を打たれましたねぇ。


高校一年の夏

幸運な事に野球部が甲子園行きを勝ち取ってくれました。

あれは第66回大会、今年は第96回大会だったそうだから

もう30年も前ことです。

母校は2回戦で敗退したけれど、愛校心のカケラも無かった僕が

甲子園の熱気に飲み込まれるように

一丸となって応援した事を思い出します。


普段同じ校舎にいる彼らが、大歓声の中で闘う勇姿は

とても大人びて見え、遠くに感じたのを憶えています。


66回大会は優勝候補だった、清原や桑田がいたPL学園を

ほぼ無名だった木内監督ひきいる、のびのび野球の取手二高が

延長の末に敗り優勝した熱い大会でした。


今年もどの試合を見てもキラキラして良い大会でした。




今年の夏休みは

海の近くの家庭的な民宿に行きたいなぁ、と思い

あれこれ探していたら・・

ほとんど消えかけていた

子供の頃の記憶がチラチラと甦ってきました。


日焼けのひりひりした感触、波の音、漁港での夜釣り・・

・・電気浮きの揺らめき。

両親が仕事で、一人だけ親戚にあずけられて行った海の記憶。

もう40年近く昔の記憶だ。




お盆のど真ん中に、40年前に行った海水浴場の

目の前の民宿が運良くとれたので家族で出掛けました。

細かい記憶なんてほとんど残っていないのですが・・

民宿の下駄をカランコロンと引きずりながら

小さな港町を歩くと

所々で頭がくらくらするほど鮮明に

少年時代の記憶が甦ります。


すべては潮騒の中

となりに少年の自分が一緒に歩いてくれている様な

不思議な空間。


防波堤から沖を見ている爺さんさえ

昔からずっとそこに立って居るのだと言われたら

信じてしまいそうなほど懐かしい風景でした。

夏の思い出には鮮やかな色彩がありますね。





台風や豪雨による災害が各地で起きてしまいました。
被災された皆さんへ心からお見舞い申し上げますとともに
救助や復旧に日夜努めて下さっている皆様に、深い敬意を表します。
被災された皆さんに一日も早く平穏な生活が訪れますよう心からお祈りしています。

CORBO.